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コラム

観光まちづくりとは?成功事例と補助金活用のリアル

30秒でわかる

観光まちづくりとは、観光を「地域経済・暮らし・景観・文化」を一体で育てる手段として位置づける取り組みの総称。単発イベントで一過性の集客を狙う「地域活性化」とは、目的・時間軸・主体構成の点で明確に異なる。成功のカギは (1) 地域の合意形成、(2) 稼ぐ仕組み(受益者負担)、(3) データに基づくKPI管理の3点。補助金は"入口の資金"であって、事業の持続性を担保するものではない。本記事では、実施事例として、有料モデルで5年間・全74公演・延べ753名を動員したさかい利晶の杜『和菓子を食べた猫』(大人1,500円・立礼呈茶券および観覧料込み)、施設観覧料と一体化した兵庫津ミュージアム『バトルインヒョウゴノツ』(500円・高校生以下無料・展示室および初代県庁館観覧料含む・2年連続)、補助事業として実施した柳原通商店街『時をかける私』(名古屋市『MOSHIMO FUTURE STREET』採択・2日302人)などプレイング株式会社の一次データも織り込みます。

「観光で地域を元気にしたい。でも、イベントを打っても翌年には元通り。補助金が切れたら誰も動かなくなる」——自治体観光課やDMO職員の方から、こうした声を聞く機会が少なくありません。

本記事では、観光まちづくりの基本的な定義から、混同されがちな「地域活性化」との違い、国内の成功パターン・失敗パターン、そして補助金活用の実務的なポイントまでを整理します。特定の年度・予算額・事業名の詳細は、必ず各省庁や自治体の一次資料をご確認いただく前提で、実務の意思決定に使える"考え方の骨格"を提示することを目的としています。加えて、体験コンテンツを核に観光まちづくりを進める視点を、プレイング株式会社(エンタビ®)の複数年運営データも交えて具体化します。

観光まちづくりとは何か——「観光」と「まちづくり」の重ね合わせ

この章の要点

観光まちづくりは、来訪者向けの施策と、住民の暮らしを支える施策を、同じ設計思想でつなげる取り組み。

観光まちづくりに厳密な法的定義はありませんが、観光庁や国土交通省が用いる文脈を整理すると、概ね次のように理解できます。

  • 観光:域外からの来訪者を呼び込み、消費・体験・交流を生み出すこと
  • まちづくり:住民の暮らし・景観・文化・産業を、継続的に育てていくこと
  • 観光まちづくり:上記2つを対立させず、来訪者の満足と住民のQOL向上を同時に設計する営み

つまり、「観光」を目的化するのではなく、地域が持続的に稼ぎ、暮らしを守るための手段の一つとして観光を位置づける発想です。近年は観光庁が推進する観光地域づくり法人(DMO)制度の広がりもあり、「観光まちづくり=DMOが担う中核業務」と捉える自治体も増えています。

3つの視点で捉える構成要素

視点 何をするか 主な担い手
地域経済 域内消費の拡大、雇用創出、事業者間連携 DMO・商工会・宿泊業界
地域社会 住民合意、オーバーツーリズム対策、景観維持 自治体・住民組織・NPO
地域文化 歴史・伝統・食・自然の掘り起こしと編集 地域住民・専門家・事業者

3つの視点はいずれか一つでも欠けると、事業は長続きしません。たとえば経済だけを追えばオーバーツーリズムを招き、文化だけを守ろうとすれば持続資金が枯れます。「稼ぐ」「守る」「伝える」を三位一体で回す設計が観光まちづくりの本質と言えます。オーバーツーリズムのリスクと対策はオーバーツーリズム対策の成功アプローチにまとめています。

「地域活性化」との違い——似ているようで、設計思想が違う

この章の要点

地域活性化はイベント型・単発型になりやすく、観光まちづくりは制度・仕組み型・継続型を志向する。

現場で頻繁に混同される「地域活性化」と「観光まちづくり」。両者は重なる部分も多いものの、実務上は目的・時間軸・主体構成において明確に異なります。

比較表:目的・時間軸・KPI・主体

項目 地域活性化(従来型) 観光まちづくり
主目的 集客・話題づくり 持続可能な地域経営
時間軸 単年度〜数年 5年〜10年以上を見据える
主なKPI 来訪者数・メディア露出 域内消費額・滞在時間・住民満足度
主な担い手 自治体観光課・実行委員会 DMO・地域事業者・住民組織
資金構造 補助金依存になりがち 受益者負担・会費・事業収益で自走化を志向
典型的な打ち手 花火大会、B級グルメ、ゆるキャラ ブランディング、商品開発、データ分析、人材育成
失敗時の症状 補助金終了と同時に消滅 事業モデル自体を見直して継続

もちろん、地域活性化と観光まちづくりを二項対立で捉える必要はありません。イベントをきっかけに関係人口を育て、それをDMOの継続事業に接続していくハイブリッドな設計も増えています。ただし、「イベントを打つこと」自体を目的化してしまうと、観光まちづくりのフェーズには進めないという点は、多くの現場が指摘するところです。地域活性化の失敗3パターンと成功5要素の整理は地域活性化の成功事例と失敗の共通パターン3つでも扱っています。

なぜ「観光まちづくり」への移行が求められているのか

背景として、次のような構造的変化があります。

  • 人口減少:住民税・固定資産税だけでは自治体運営が厳しく、域外収入(=観光消費)の重要性が増している
  • インバウンド市場の回復:訪日客の分散化・地方誘客が政策的にも後押しされている
  • オーバーツーリズムの反省:単純な集客ではなく、質と量のバランス管理が問われている
  • DX・データ活用:GPS・決済データにより、行動と消費の可視化が可能になった

こうした環境下では、「イベントで一時的に賑わせる」だけでは対応しきれず、地域の稼ぐ力そのものを制度として組み込む発想が不可欠になっています。

成功事例に共通する3つのパターン

この章の要点

うまくいっている地域は、(1) 明確なコンセプト、(2) 稼ぐ仕組み、(3) 住民の巻き込み——この3つを揃えている。

ここでは、国内で観光まちづくりの参考例として頻繁に取り上げられる地域を、パターンごとに整理します。個別の数値・時期・事業名の詳細は、各自治体・DMOの公表資料や観光庁の事例集を必ずご確認ください。ここでは"考え方の型"のみを抽出します。

パターン1:歴史・景観を軸にブランドを再構築した事例

  • 岐阜県高山市:古い町並みを核に、外国人観光客の受け入れ環境(多言語対応・キャッシュレス・二次交通)を早期に整備してきたケースとして知られる
  • 石川県金沢市:伝統工芸・食文化・建築を統合的に発信し、宿泊単価の高い滞在型観光を目指してきた例として言及されることが多い
  • 岐阜県白川村(白川郷)/富山県南砺市(五箇山):世界遺産を軸に、景観維持と観光受け入れの両立を制度化してきた地域

共通するのは、「何の地域か」を一言で言えるコンセプトの磨き込みと、それを支える景観条例・受入体制の制度化です。

パターン2:DMOが広域連携をリードしている事例

  • せとうちDMO:一般社団法人せとうち観光推進機構と株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションを中核に、瀬戸内海沿岸7県(兵庫・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛)を跨いだ広域観光ブランディング・商品開発を進める例として知られる
  • 雪国観光圏:新潟県(魚沼市・南魚沼市・十日町市・湯沢町・津南町)・群馬県(みなかみ町)・長野県(栄村)の3県7市町村が連携し、「雪国文化」というテーマで統一した情報発信・商品化を進めてきた例

広域DMOは、単独自治体では手が届かない海外プロモーション・共通ブランド・宿泊商品の造成に強みがあります。一方で、参加自治体間の合意形成コストが大きい点は現場で頻繁に指摘される課題です。

パターン3:体験コンテンツで稼ぐ力を上げた事例

近年伸びているのが、既存の観光資源に「体験」を掛け合わせて滞在時間と消費額を伸ばすアプローチです。伝統工芸の体験、農泊、地元ガイドツアー、ナイトタイムエコノミー、ローカルガストロノミーなど、"モノを見る"から"コトを体験する"への移行が進んでいます。

体験型コンテンツは、次のような効果が見込めます。

  • 単価向上:入場料型より高単価にしやすい
  • 滞在時間の延長:昼のみの日帰りから、宿泊誘発へ
  • リピート・口コミ:体験の質はSNSでも拡散されやすい
  • 地域住民の関与:ガイド・事業者として住民が参画できる

実装例:施設と一体化した有料体験モデル

プレイング株式会社(エンタビ®)が公設観光施設との共同運営で実施してきた事例は、体験コンテンツで稼ぐ力を上げた具体例として参考になります。

事例 参加費 継続期間・成果 ポイント
兵庫県立兵庫津ミュージアム『バトルインヒョウゴノツ』 500円(高校生以下無料。展示室・初代県庁館観覧料含む) 2023〜2024の2年連続、2025年2月まで実施継続/全15回・延べ200名 定員各回10人の少人数濃密型/幕末の神戸事件を素材化
さかい利晶の杜『和菓子を食べた猫』 高校生以上1,500円/中学生以下1,000円(立礼呈茶券・観覧料込み) 2020〜2024の5年間で全74公演・延べ753名動員 与謝野晶子の幼少期エピソードを素材化/立礼呈茶と観覧の料金一体化設計
大阪府立大型児童館(現・堺市立)ビッグバン『スペースラビリンス』 2021・2022の2年連続満席/2025年8月20日千秋楽でシリーズ完結 児童館全体を宇宙船に見立てた家族向け/熱烈なリピーターが観測

いずれも共通するのは、「体験プログラムのチケット」を単売するのではなく、施設の観覧料・呈茶券・入館料と一体化させて価格設計している点です。これにより、参加者は「体験を買う」のではなく「施設に来る動機そのものが体験になる」という接続が生まれ、施設側の入館者数増加にも直結します。

体験コンテンツの具体的な設計手順は、周遊型謎解きイベントの作り方と成功事例で、企画・実装・KPI設計まで実務ベースで解説しています。あわせてご参照ください。

失敗事例——陥りやすい5つのパターン

この章の要点

失敗の多くは「事業そのもの」より「合意形成・出口設計・KPI設計」で起きている。

観光まちづくりが計画倒れになる例は、実は事業アイデア自体の問題より、設計・運営プロセスの問題であることが大半です。実名の失敗事例は個別地域への風評につながるため避けますが、現場で語られる典型パターンを整理します。

陥りやすいパターン

# パターン 症状 予防策
1 補助金依存 補助金期間が終わると事業が消える 初年度から自走化の収益モデルを設計
2 合意形成の後回し 事業開始後に住民反対で頓挫 計画段階から住民ワークショップを継続
3 KPIが「来訪者数」だけ 増えても地域が儲からない構造に 消費額・滞在時間・満足度を複合指標化
4 担い手不在 委託先が変わると継承されない DMO・地域法人に人材と権限を残す
5 ハコモノ先行 施設だけできて中身がない ソフト(体験・運営)を先に設計する

特に注意したい「担い手の空洞化」

観光まちづくりでもっとも根深いのが、担い手の空洞化です。自治体主導で計画を作っても、5年後・10年後にその計画を回す人材が地域に残らないと事業は続きません。

対策として、次のような取り組みが観光庁の事例集などでも紹介される傾向にあります。

  • 地域おこし協力隊の観光まちづくり特化型の登用
  • DMO内での若手プロパー人材の育成
  • 大学・専門学校との連携によるインターン制度
  • 地域外プロデューサーとの中長期契約

実装例:観客がキャストに転じるリピーター循環

体験コンテンツを核にした場合、担い手育成には「観客→再訪→キャスト応募→担い手」という新しいルートが生まれます。プレイングが2026年に奈良・平城宮跡歴史公園で実施した『平城遷都誘宵記』では、キャストオーディション応募14人中半数が過去にエンタビを観劇・体験したリピーターでした。応募地域は奈良県内だけでなく、横浜市・名古屋市など地域外からも寄せられ、来場者アンケートでは48人中26人(約54%)が「次回はキャスト側で参加したい」と回答しています。

これは、「新規に担い手を探す」だけでなく、「既に体験してファンになった層を担い手側にスライドさせる」ルートが定量的に観測可能な段階にあることを示す実データです。担い手の空洞化に対処する新しい設計指針として、体験コンテンツを介したキャスト循環は、今後より多くの地域で応用可能な手法になり得ます。

補助金・交付金の一般論——「使い方」より「出口設計」

この章の要点

補助金は初期投資の呼び水。継続財源の設計を先に描かないと、事業は補助金と一緒に終わる。

観光まちづくり関連の財源は、国・都道府県・市町村・民間の複数レイヤーで存在します。具体の予算額・年度・事業名は毎年変動するため、必ず観光庁・内閣府・各自治体の最新の公募要領をご確認ください。ここでは共通する"考え方"を整理します。

財源の主なレイヤー(概念整理)

レイヤー 例(概念) 特徴
国(観光庁) 観光地域づくり法人(DMO)関連の支援施策 ブランディング・広域連携・人材育成に寄与
国(内閣府) 地方創生関連の交付金枠組み 自治体の計画に基づく総合支援
都道府県 観光振興・体験商品造成の独自補助 県のマスタープランと整合
市町村 地域資源掘り起こし・事業者支援 実施主体に最も近い財源
民間 財団・企業CSR・クラウドファンディング 使途の自由度が高い場合がある

補助金活用でやってはいけない3つのこと

  • 補助金ありきで事業設計する:「予算がついたから使う」型は、目的と手段が逆転する
  • 単年度で終わる打ち上げ花火:施設・イベントに集中投下し、翌年運営費が出ないパターン
  • KPIを「補助金消化率」で見る:本来のアウトカム(消費額・満足度)を測らない

補助金活用の"設計のコツ"

  • 出口(自走化)から逆算する:3年後に何で稼いでいるかを先に描く
  • 住民合意と一体で申請する:補助事業のあとにも住民の理解が残る構造にする
  • KPIをアウトカムで設定する:来訪者数だけでなく、滞在時間・消費単価・再訪率・住民満足度を組み合わせる
  • 人件費・運営費を織り込む:ハコよりヒトに投じる比率を意識する

実装例:補助事業を単発で終わらせない設計

名古屋市『MOSHIMO FUTURE STREET』採択プロジェクトとして実施した柳原通商店街『時をかける私』(2026年2月・参加費無料)は、補助事業予算を「単発の打ち上げ花火」ではなく「次年度以降にも残る無形資産(脚本・NFCシステム・演者ネットワーク・地域史アーカイブ)」に投下する設計を採りました。演者12名にはプロ演者に加え商店街関係者・地域住民・学生ボランティアが混成で参加し、制作プロセスそのものが地域内の関係者を巻き込む場として機能しました。

補助金活用のもう一つの視点は、初回は補助事業スキームで実施し、次年度以降に有料モデルへ移行する「二段階設計」です。プレイングの他事例では、施設と共催して有料モデル(さかい利晶の杜1,500円・立礼呈茶券および観覧料込み×5年間で全74公演・延べ753名/兵庫津500円・高校生以下無料・展示室および初代県庁館観覧料含む×2年連続・全15回200名)で自走化している構造もあります。補助金と有料モデルは対立するものではなく、時系列で組み合わせるものと捉えると、設計の幅が広がります。詳しくはイマーシブシアターで商店街が変わるを参照ください。

観光まちづくりは、「補助金でスタートし、事業収益で継続する」設計が原則です。逆に言えば、事業収益を生む体験コンテンツやサービスの造成が、補助金を"生きたお金"に変えるカギになります。

実務でよくある質問(FAQ)

この章の要点

現場で頻出する疑問を、意思決定に使える粒度でまとめる。

Q1. 観光まちづくりとDMOの関係は?

DMO(観光地域づくり法人)は、観光まちづくりを実行するための"組織の器"の一つです。観光庁の登録観光地域づくり法人(登録DMO)制度に基づき、2025年10月のガイドライン改正により、新規登録では広域連携DMO・都道府県DMO・地域DMOの3類型に区分されるようになりました(従来の『地域連携DMO』のうち、単一都道府県を対象とするものが『都道府県DMO』へ、複数市区町村を対象とするものが『地域DMO』へ再編。更新登録は2027年4月から新要件が適用される経過措置あり)。地域の合意形成・データ分析・マーケティング・商品造成などを担う中核組織として位置づけられますが、DMOがあれば観光まちづくりが成功するわけではなく、地域の合意と稼ぐ仕組みが伴っているかが重要です。

Q2. 小さな自治体でも観光まちづくりは可能ですか?

可能ですが、単独自治体で完結させようとしない設計が肝要です。広域DMOへの参画、近隣市町村との共同ブランディング、テーマ型(食・農泊・古民家など)の広域連携など、選択肢は多くあります。人口規模が小さい地域ほど、「何をやらないか」を先に決める戦略設計が効いてきます。また、体験コンテンツを核に据える場合は、地域外からのキャスト応募(平城宮跡では横浜市・名古屋市からも応募あり)を受け入れることで、担い手の裾野を広げる設計も可能です。

Q3. 住民の反対をどう乗り越えれば良いですか?

観光による生活影響(渋滞・ゴミ・マナー)は、事業が動き出してからでは対処が難しくなります。計画策定段階からのワークショップ、住民代表のDMO理事会参画、オーバーツーリズム対策の明文化などが、事後トラブルを予防する打ち手として言及されることが多いです。

Q4. インバウンドと国内観光、どちらを優先すべき?

一律の答えはありません。ただし、繁忙期のピーク管理と閑散期の底上げの2軸で考えると、インバウンドは閑散期の底上げ、国内観光はリピーター育成に効きやすい傾向が語られます。地域の宿泊供給量・二次交通・ターゲット像に応じて配分を検討することになります。

Q5. KPIは何を追えば良いですか?

来訪者数だけでは不十分です。実務では次のような複合指標が使われる傾向にあります。

  • 消費額:域内消費総額、1人あたり消費単価
  • 滞在時間:平均滞在日数、宿泊比率
  • 満足度:来訪者アンケート、リピート率
  • 住民指標:住民満足度、事業者収益、雇用数
  • 担い手指標:キャスト・ガイド応募数、地元関与人数(体験コンテンツ導入時)

Q6. 補助金を取ったあと、次の年度が心配です。

多くの現場が同じ悩みを抱えます。対策として、補助事業の期間内に「稼ぐ主体」を育てておくことが重要です。具体的には、体験商品の販売、会員制の観光地域づくり法人、宿泊税・入湯税の活用、企業版ふるさと納税など、補助金以外の継続財源を並行して設計します。柳原通『時をかける私』のように、補助事業予算を「地域内に残る無形資産」に投下する設計と、並行して有料モデルで自走化する事業(さかい利晶の杜1,500円×5年間で全74公演・延べ753名など)を育てる二段構えが実務的です。

Q7. 体験コンテンツはどう作れば良いですか?

一朝一夕にはできませんが、次のステップが基本形として語られます。

  • 地域資源(自然・文化・食・人)の棚卸し
  • ターゲット像(誰に届けたいか)の明確化
  • 物語(なぜここでその体験をするのか)の言語化
  • 体験プログラムの設計・価格設定
  • 予約・決済・多言語対応の環境整備
  • ガイド・受け入れ事業者の育成

プレイングのエンタビ®は、地域資源を"体験"として磨き上げるプロセスを、企画から運用まで一気通貫でご支援するサービスです。施設型(さかい利晶の杜/兵庫津/大阪府立大型児童館〔現・堺市立〕ビッグバン)、観光地型(平城宮跡)、商店街型(柳原通)、企業イベント型(アワーズ/わかさ生活)と、複数モデルで実績を積んでいます。地域固有の物語をどう体験に翻訳するか、ぜひ具体的な事例でご相談いただければと思います。

Q8. 民間との連携はどう進めれば良いですか?

「委託」ではなく「共同事業」の設計が長続きします。行政が計画・合意形成を担い、民間が事業運営・稼ぐ仕組みを担う——このように役割を分けたうえで、共通KPIで進捗を管理する体制が現実的です。共同事業体(LLP・LLC)や登録DMOなどの器を活用するケースも増えています。プレイングの兵庫津ミュージアム『バトルインヒョウゴノツ』(2年連続・全15回・延べ200名)やさかい利晶の杜『和菓子を食べた猫』(5年間で全74公演・延べ753名)は、公設施設と民間事業者(プレイング)が共催する形で複数年運営を成立させた実例です。

まとめ——「観光を通じて、地域が生き続ける」ための設計

観光まちづくりは、単なる集客策ではなく、地域が持続的に稼ぎ、暮らしを守り、文化を伝えるための総合的な設計です。

  • 定義:観光と暮らしを重ね合わせ、稼ぐ・守る・伝えるを三位一体で回す
  • 地域活性化との違い:時間軸・主体・KPIの設計が根本的に異なる
  • 成功要因:明確なコンセプト、稼ぐ仕組み、住民の巻き込み
  • 失敗要因:補助金依存、担い手空洞化、KPIの単純化
  • 補助金:初期の呼び水として使い、自走化の設計を先に描く

そして、事業を持続させる最大のドライバーは、「体験を通じて地域の物語に価値を感じてもらう」——この一点に尽きるのではないでしょうか。5年間で全74公演・延べ753名を動員したさかい利晶の杜、2年連続で全15回・延べ200名を集めた兵庫津ミュージアム、補助事業を単発で終わらせない設計の柳原通商店街──それぞれ規模もモデルも異なりますが、いずれも「地域の物語に対価が支払われる/担い手が育つ」という共通の構造を持っています。








参考リンク(一次情報)

※ 補助金・交付金の要件は年度ごとに変わります。個別事業の詳細は、必ず最新の公募要領・各自治体の公表資料をご確認ください。

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